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7月3日(晴天 夜半に雨音聞こえる) 紅茶の味





MOMOTOSE
DO A DAY





吉田健一の随筆を久しぶりに取り出して読んでいると、吉田翁は紅茶が英国のものである限り、英国まで出かけなければ、その味がでないと書いている。しかし、これが書かれたのは何十年も昔の話で、硬水、軟水という違いはあるにしても、いまは充分東京でうまい紅茶を飲むことができる。



それよりも、経験からいうと英国の家庭で出された紅茶は、私には味が薄かった。 それは、多分、我が家ではクラッシックアールグレイとダージリンを混ぜて飲んでいたからだと思う。つまり、くせのある紅茶に慣れていたせいもある。それに、家族全員、濃い目のお茶にミルクを多目にいれるのが好きだった。

アールグレイとダージリンを混ぜるというのを家族の誰が言い出したのかはわからないが、朝の紅茶はその割合が3:1で、昼や夕べになると1:3でダージリンの分量が増えた。ときには、ラスサンプーチンという一種マッコウくさいような葉を混ぜた。



私は、フォートナムのクラッシックアールグレイが一番うまいと思っていて、ひとり暮らしをはじめてからは、こんなにうまいのだから混ぜるよりはそれだけで飲んだほうが良いに決まっていると、もっぱらこれを飲んでいる。そして、たまにオーガニックダージリンを、これはミルクをいれずにストレートで飲んでいる。



家ではコーヒーより紅茶を多く飲んだが、昔から外の喫茶店、レストランではいっさい紅茶は頼まないというのが家族の暗黙の了解だった。つまり、失望するに決まっていると信じていたのだ。



確かに、当時の東京ではコーヒーは、ネルドリップ式や水出しとか凝った店はけっこうあったが、紅茶に気をつかうところに当たったことはなかった。第一、ちゃんとポットで出てくるようになったのも、ツイ最近のことだと思う。


当たり前だが、ロンドンでは誰かの家にいけば必ず紅茶がでる、しかし、コレはうまいと思った紅茶に出会ったことは一度もない。ただ、一応、希望は聞いてくれるので、まず濃い目が良くて、できればアールグレイが好ましいと伝えることはできる。まともな英国人はマナーが良いから、できるだけこちらの希望にあわせて気をつかって出してくれる。

それでも私は、やはり我が家の紅茶が一番だと思った。不思議に他人の家ででるコーヒーには不満を覚えたことはない、、、ここまで書いて気がついたのは、つまり紅茶に限っては「我が家」の味が一番と誰しも思っているのではないかということで、いまさら気がつくのは、私がうまいと思っている紅茶も、他人から見ればやけに濃すぎる紅茶にすぎないだけかもしれない。つまり、紅茶の味は、「我が家の味」でそれをとやかく言うのはやぼだということだが、しかし、私はいまだに外で紅茶を頼むことはしない。今後もずっとしないと思う。

by momotosedo | 2008-07-03 23:22 | ■百歳堂 a day


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