2月10日(晴天)  100年素材 「Harvest Gold Moleskine Trousers」 限定5着






momotosedo`s
21st Century
Elegancy



f0178697_018188.jpg



Harvest」という言葉が好きだ、語感も良い、ニール・ヤングのアルバムタイトルにもあってそれは名盤だった、

なにより、実り多い黄金の穂がゆれる田園を思わせて、ゴールドともイエローともベージュともいえるその色は、何か豊かで幸せな記憶を呼びおこす、そんなに思い当たる具体的な記憶を持っているわけでもないけれど、一番幸せそうな色をしていると思う、

私はこの豊かで幸せな記憶を持ち歩こうとして、旅のジャケットもなんとかそう思えるツイードを探し当てて仕立てみたりした、しかし、この豊かな色を探すのは幸せを探すのと似て案外手こずる、、、



「幸せ」というものが結局探しているだけでは手にはいらないと気づいていくように、探しあぐねた末に私は理想のこの色をつくりあげるということに気づいた、

つまり、織ってみることにしたのだ、


そして、この色に相応しい素材をと考えたとき、思いついたのが「モールスキン」だった、

「100年素材」としての頑丈さ、その素材がもつ「意味あい」もそうだけれど、その短い毛足に覆われた小動物の毛並みを思わせる質感と光沢を見せて微妙に色を変える表情がこの「ハーベスト ゴールド」にぴったりだと確信したからだ、


そして、それからが大変だった、、、


モールスキンという素材を研究してみると、その歴史の意外な深さと汎用性に気づく、乗馬用ズボン、カントリートラウザーズをはじめ、その耐久性、「保護性」の高さから兵士の前線用の軍服にも採用されている、強度からいえばデニムジーンズよりも確実に高いパフォーマンスと保温性を持っている、

英国でモールスキントラウザーズが愛用されるのは、耐久性とともに、この保温性もあるのではないかと思う、冬の凍てつく雨降る暗い田舎の田園では、なにか守られているようなホっとする暖かみと肌触りをこの素材は持っているのだ、

そして、コットン100%のワークウエアとしては最強の素材であると同時に、なにより柔らかい、身体になじんでくるのだ、これは、同じ最強の素材、「キャバリーツイル」より優れた美点だ

しかし、私にはその「柔らかさ」は、それでもまだ「不満足」だった、織りとしての高いパフォーマンスは分かる、しかしそれを生かして生涯にわたって愛用するスポーツトラウザーズとなるためには、より、身体になじんでくれる「柔らかさ」と、優れたテーラリングに相応しい最上質が必要なのだ、



今回、焦点をあてたのも、その「柔らかさ」と「毛足の美しい均一性」だった、
かなり密な打ち込みにしてあるが、我侭の限りを尽くして、糸を厳選して織ってみたのだ、
参考にしたのは60年代のビンテージの西独製のコットンヴェルヴェットのクオリテイーで、それは糸が違うのか今のものと比べるとかなりの柔らかさをタッチに残す、



この西独製のヴィンテージヴェルヴェットの驚くべき柔らかさは、前々から気になっていた、どうしてこの「柔らかさ」は生まれてくるのか、昔と今とで、そう織り方が違うようにも思えない、
そこで今回は、かなり良質で繊維の長い或る綿糸を使ってみたわけだが、結果的には成功だったのではないかと思う、いままでにない「しなやかさ」が出たと思う、触れば違いが分かる、


この「ハーベスト・ゴールド モールスキン」は、「コムド・コットン」で織られている、
綿糸をつくる過程で、短い繊維を除き、繊維を引きそろえる工程を「カード」というが、「コムド・コットン」は、この工程のあとに、さらに精度の高いコーマという工程を経る、一般に、より番手の高いものをつくるときにこの「コーマ」を通すが、この「ハーベスト・ゴールド」は、一般のモールスキンの常識を、はるかに越えた高番手で織られているのだ、


多分、これほどの「コムド・コットン」で織られたモールスキンは、いままでに無いと思う、
しかも、かなり密にタイトに織って、毛足の均一性に拘ったので、或る意味で「贅沢」な表情を持っている、、、いわば、「羊の皮を被った狼」、いや、しなやかだから逆か「狼の皮を被った羊」、いやウールではなくコットンだから、、、まあ、例えはいいとしよう、、、






と、ここまで読まれると、いかにもスムーズに作業が行われたかのような印象を持たれるだろうが、モノをつくる、或いは我侭な思いを貫いてモノをつくるというのはやはり、大変なことデス、

この間、私といつもヨーロッパでのリサーチャーを頼んでいるノルウエーとイタリアのハーフの「美人」助手は、それこそ一遍の小説にもなりうるような苦労を分かち合ってマス、

しかも、これだけでなく、いくつかのミッションを同時進行させていたので、その苦労は只々笑うしかない、アッチの問題をなんとか収めれば、コッチの作業が滞っているという文字通り、「モグラたたき」のインターナショナル版だった、それでも、我々は妥協しなかったのは手前ミソだが誉めてやりたい、


そして、このモールスキンの最大の難関であり、「モメごと」は、 「色」だった、

これは、次回ご紹介を予定している「100年素材 限定シリーズ」の「ブツ」にもいえることだが、色を「説明」するのは難しい、印刷用の色見本、或いは自然界にその見本となるものがあれば、それでも基準を示すことができるからまだましだが、この「ハーベスト ゴールド」は、私の頭のなかにある、

それに、私は人一倍拘るタチなのだ、センス オブ (ヒ)ユーモアは解するつもりだが、信念を通すのには遠慮を知らない、


私が欲しかったのは、いつまでも生命を持ち続け、愛用できる「ハーベスト ゴールド」だった、いつの時代でも新鮮で、しかし飽きのこない色、そしてクラッシックなスポーツトラウザーズとして上品に魅力的に納まること、、まあ「戦い」とも呼べるものがあり、なんとか(しつこい)、納得のいく幸せな色が生まれたのではないかと思う、




ただし、そういう経緯もあり、残念ながら再び織ることは難しい、「効率」には合わないのだそうだ、そして限られてもいる、このモールスキンは昔ながらのシングル幅(普通のウーステッドは150センチ幅)で織られてもいる、通常より仕立てるのに長さがいる、


そして今回は、この「ハーベスト ゴールド」を極めてクラッシックなスポーツトラウザーズ(ブレシーズ仕様と内ベルト仕様の2種、ハウススタイルの詳細はアトリエにお問い合わせを、ただし、ビスポークなので好みのスタイルでも、)に仕立てたい、ただし、そういうわけで限定5着のみ、

このクラッシック スポーツトラウザーズは、履きなれたジーンズのように愛用して欲しい、ウエイトから云えばジーンズとそう変わりはないはずだ、季節を気にせず、そして生涯、愛して欲しい、




”ビスポーク モールスキン スポーツトラウザーズ 「ハーベスト ゴールド」” 
(限定 5着 )
¥75,000(税込み価格 仮縫いつき、フルハンド、そして好事家向き)*残念ながら売り切れました。


問合せ先 e-mail rikughi@ozzio.jp
phone 03-3563-7556








copyright 2009 MOMOTOSEDO, Ryuichi Hanakawa

[PR]
by momotosedo | 2009-02-10 00:17 | ■100年素材


<< 2月13日(陰) 100年素材... 2月8日(晴天) 100年ラス... >>