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私家版 super egoistic wonderland  1.「ダーウィンの21世紀」

bespoke classic
六義RIKUGHI
Art&ClassiC
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ダーウィンの21世紀
(title copyright 2017 Ryuichi Hanakaw&RIKUGHI)
(できれば愉しい21世紀を語っていきたい。あいかわらずのマイペースだけど、、)



Ras(Erasmus)・ダーウィンの訃報を知らせる「一斉」メールがロンドンのクラブから届いたのはつい先日のことだった。

クラブメンバーの誰かが亡くなるといまや全メンバーにクラブの秘書名義で訃報が「メール」される。「メール」というものがここまで普及する以前はクラブのレセプション近くのおよそ1メートル四方の掲示板に「お知らせ」がただ黒いピンで止められるだけだった。まさに新しい「種」が世界を凌駕した。




Rasはお察しのとおり「種の起源」を著したチャールズ・ダーウインの直系の子孫である。(クラブではどんなに年の差があってもファーストネームで呼び合うが、何故、彼が「ラズ」という愛称で呼ばれたかというと、ダーウィン家はしばしば男子にエラズマスと名付けることがままあり、チャールズ・ダーウィンの祖父もまたエラズマス・ダーウインであり、チャールズの兄の名もまたエラズマスであったから「区別」するため愛称で呼ばれるようになった。)
何代目にあたるのだろうか、「訃報」によると1948年にクラブメンバーに選出されたとのことだった、90歳のバースデイを迎えるまさに2日前に亡くなったそうだ。亡くなる2週間前にメインダイニングルームでご機嫌に友人たちとランチをとる姿が確認されている。


クラブでの私の後見人が某科学者なので紹介されて数度、ランチをともにしたことがある。
Rasの弟のフィリップもまたクラブメンバー(1951年選出)で親しくダーウィン家の「話し」をきかせてくれた。


もちろん「種の起源」で著名なチャールズ・ダーウィンもまたロンドンの我がクラブのメンバーであった。


クラブには彼の功績を称えその名を冠した「ダーウィン ルーム」がある。





一種の”のぞき趣味”で申し訳ないが「ダーウィン家」はたいへん興味深い。

チャールズ・ダーウィンの父、ロバート・ダーウィンの妻スザンナは英国の陶磁器メーカー「ウエッジウッド」の創始者ジョサイア・ウエッジウッドの孫娘であったことをご存じだろうか。

ウエッジウッド家とダーウイン家はたいへん親密な関係にあり、数組の婚姻関係が生まれている。
ダーウィン家はもともと富裕な医師の家系でチャールズ・ダーウィンも医学を学んだが馴染めず(当時は麻酔技術が発達しておらず手術も麻酔なし!で行っていたらしい、さぞや壮絶な有様だったろう)、「地質学者」に転じた。

我が国では生物学者と思われがちだが、英国では著名な「地質学者」としてとらえられている。

「種の起源」は彼がちょうど50歳のときに出版されている。

この約150年前の「ベストセラー」はグローバリゼーション以降の21世紀がどうなるか、どう生きるかを考えるにあたって深い啓示を今一度我々に与えてくれる。



f0178697_2249028.jpg*アンテイーク時計好きにはたまらない「Parkinson & Frodsham」の置時計。Frodoshamは英国王室のワラントを持ち、ロイアルファミリーのクロック(置き時計、柱時計)だけでなくポケットウオッチなども制作していた名時計職人、ウオッチメーカーである。
彼のダブルエスケープのスケルトンウオッチは1851年のロンドン万国博に出品されて大変な評判をとった。
当時、先進的なウオッチメーカーはロンドンとパリにあり、スイスは「下請け」に過ぎなかったのだ。
「Change Alley」は「Parkinson & Frodsham」が所在(4 Change Alley, Cornhill, London)していたロンドンの通りの名前である。

クラブにはこうした置時計、柱時計などアンテイークの逸品がさりげなく置かれており、しかもいまも変わりなく時を刻んでいる。こういう「絶滅種」に私はヨワイのだ。





















ダーウインは「種の起源」のなかで「Evolution(進化)」という言葉を意識的に避けている。
それは「Evolution」という言葉が持つ肯定的な意味あい(前進するというような)を自説に持たせたくなかったからだ。

ダーウインは「Descent with modification(変更を伴う由来)」とだけ表現している。

つまり環境の変化により、それに適した種が残り、そうでないものは「滅びゆく」というのがダーウインの説で、種自らが「進化」「適応」していくわけではない。


これはグローバリゼーション以降の21世紀がどうなるか、どう生きるかを考えるにあたって深い啓示を与えてくれる。

そもそもダーウインは進化が「前進」であるとは考えてはいなかった。種が変革していくのではなく環境に即した新種が残っただけだ。

そういわれてみれば今「進化」と名乗るもののほとんどは「格差」と置き換えることができる。20世紀と21世紀の違いは「進化」と単純に賛美できる境界線を越えてしまってハイスペックだがクラッシュもありえる領域に我々が自ら足を踏み込んでいくことにある。




f0178697_13144931.jpg*ご存じのようにクラブのメンバーになるにはCandidate(立候補)しなければならない。
極めて英国的なこの仕組みについては、「六義庵百歳堂」の「友人」の項をご参照いただければありがたい。
クラブ創設以来の「Candidates book」はいまでもすべてが大切に保管されている。
















オリンピックから5年後の2025年には約600万の人口が我が国から消失し、(これは北海道<約550万>ひとつ分以上に値する)日本の人口の約半数が50歳以上になる。




f0178697_1812996.jpg我がクラブはロンドンのクラブには珍しく「フレンチルネッサンス様式」で建てられている。
19世紀末にWalter Burns (モルガン財閥の創始者であるJ Pierpont Morganの義兄弟にあたる) がブルックストリート(ジミ・ヘンドリックスとヘンデルの家があった。アールデコ様式のホテルクラリッジスはお隣さんである)の69番地と71番地を買い取り、フランスの建築家、Bouwens Van der Boyerに改装を依頼した。(元の建物は1760年代に建てられている。)






























f0178697_18541693.jpgクラブのダイニングルームのキャビネットにはメンバーたちから預けられたトロフィーが並んでいる。
ノーベル賞のトロフィーはなかったように思うが、ひとつひとつがメンバーの業績を物語っていて興味深い。

そのなかでポッカリと「空席」がひとつ、ここにはかつてEmeric Pressburgerの「オスカー賞」の像が飾られていた。亡くなったときに家族が一旦ひきとったそうだ。
プレスバーガーは「赤い靴」とかオスカーを受賞した「49th parallel」、シブいところでは「月曜日には鼠を殺せ」などで知られる脚本家、監督である。
































                                                                                          <つづく、、、、>

*「テーラー六義」を更新しました。「ウエストコート」について考察しています。こちらも覗いてみてください。マイペースですが愉しい世界をつくっていければと思っています。

「六義」
中央区銀座一丁目21番9号
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by momotosedo | 2017-02-22 11:49 | ■私家版