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10月5日(晴のち雨)   秋の夜長


百歳堂日乗





風の匂いというのは、実際には何の匂いもしないけれど、それは心のどこかを刺激して遠い記憶をくすぐって通り過ぎていく、未練を残さず通り過ぎるというのが秋らしくて、それがかえって過ぎた日々への想いをせつないものにする、


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供の手をひいて、近くの神社の秋祭りの夜店を覗きに、そうした風が舞う夜道を辿っていくと、顔にはださないけれど、心にはあの日、この日がちょっとせつなく蘇りはじめるのだ、





射的屋、ワタ飴、紐くじ屋、子供の時分にはうまくできなくて悔しい思いをした型抜きを売るおじさん、裸電球に照らされて寄り添うように夜に浮かぶそれらは大漁旗のようなたれ幕も昔と同じで、お久しぶりですと闇のなかから挨拶してくる、





秋  夜  子  蘇り  闇の  挨拶


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by momotosedo | 2008-10-05 00:33 | 緋文字