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10月2日(秋 晴天)  グローバリーゼーションとスタイル  その10  テーラリングの旅 2



百歳堂日乗
ART of Tailoring  


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私は、一人前の男にとって、頼りになるテーラーというのは事情が許すなら、いた方が良いと思う、いや本心は、いるべきだと思う、上手くは説明できないけれど、良いテーラーにあたれば、この世の中を少しは愉しくサヴァイヴする一助を得られるように思う、

この「頼りになる」テーラーというのが、今は難しくなっている、多分、どの国でも、いまや探すのは難しいと思う、
「頼りになる」というのは、ひとつには良い服がつくれることはもちろん、正しい服や布地の知識は云うに及ばず、説明が難しいが男が生きる「手助け」をしてくれるということではないかと思う、


私が若い時分の、パーソナルテーラーにはそれがあった、例えばアスコットなどでの振舞い方、そこでの帽子の扱い方、或いは誰それはうちの顧客だから、それとなく云っておきましょうとか、随分と若い私は助けられた、
とにかく、この人たちに身を預けておけば、それなりの自分になれるという安心感があった、
少なくとも、外側だけは、、(しかし、外見がそれなりになるということは、世の中を歩いていくには思っている以上に大切で、しかも、外見は内面へと影響していくことを忘れてはいけない、だからテーラー選びは男にとって重要で、後述するパブリックスクールの上級生の言は、単にスノッブというだけでない、)

だから、その頃のパーソナルテーラーの幾人かには、本当に紹介でもない限り頼めなかったし、テーラーも顧客を限定していた、いま、パーソナルテーラーが何人いるのか、いないのかは知らないが、今は多分、様変わりしていて、そんなことは遠い昔の話になってしまったことだろう、

「頼りになる」テーラーを選ぶコツは、やはり経験豊富な人の方が良く、できればクラッシックで格好良い服を仕立て続けた人の方が良い、

昔は、パブリックスクールの上級生は、「服はロンドンで仕立てろ」と下級生に忠告するのが常だった、つまり、ロンドンのカットと仕立ては「洗練」を意味していた、だから、「デンマン & ゴダード」はイートンに支店を出し、イートンとのつながりの中で、彼らの将来にふさわしい服を提供した、それは、やはりテーラリングが違っていた、いまはどうだか知らない、私が感じる限り、80年代後半には、そういうものは一部のテーラーにしか残っていなかった、社会のエトスが変わるにつれ、60年代後半から、様々な「澱」のようなものが溜まっていって、いくらビスポークといえど変わってしまったのだ、

この3人のお爺さんたちが作っていた服について触れる前に、云っておきたかったのはそうしたことだ、これは、私も随分後になってはっきり気づいたことだが、お爺さんたちは、正真正銘の「クラッシック ビューテイ」をつくっていたのだ。






by momotosedo | 2008-10-02 19:45 | ■テーラリングの旅


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