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6月29日(雨の日曜日)  ベルエポック  ロベール ド モンテスキュー



百歳堂日乗




 
読書は愉し
ベルエポック

百歳堂 |  ロベール ド モンテスキュー






6月29日(雨の日曜日)  ベルエポック  ロベール ド モンテスキュー_f0178697_16282883.jpgハースの「ベルエポック」が俯瞰的ならば、モンテスキューの生涯に焦点をあてて、ピンポイントでベルエポックを語っているのが、このフィリップス・ジュアンの「1900年のプリンス」(国書刊行会)である。


フィリップス・ジュアンは、モンテスキューだけでなくベルエポック、エドワーデイアンの人物についても幾つかの評伝を残している、そのどれもが極めてよく調べられており、また人物の捉え方も深く、独特の見識がある。
ジュアンの文体は、流麗でレトリックにあふれ、ときに皮肉めいてもいる、ただ、それだけに原文で読むと時間がかかる。悪文では決してないのだが、手強いのだ。それに、大作でもある。私は、当初、原文のテキストで読んでいたが、早く先に進みたくてつい飛ばし読みをしてしまう、それで翻訳本が出たときにはさっそく購入した。ただ、ジュアンの文章の華麗さを味わうためには、原文の方が良いのは当たり前で、日本語におきかえると変に仰々しいものに見えるのが残念だ。大体、置き換えること自体に無理がある。 

それはさておき、、、、


ハースの紹介のところでもかいたように、「ヨーロッパが社交人種によって有機的に交流していた。それが、ヨーロッパを捉えるときの忘れてはいけない鍵だ」という点において、モンテスキューという独特な社交人種を軸に語るジュアンの著書ほど、それを具体的にといてくれるものはない。
例えば、イタリアを逃れてきたダヌンツイオをパリで庇護するひとりがモンテスキューであった。詩人として認められたいモンテスキューにとって、ダヌンツイオは憧れだった。ダヌンツイオに音楽劇を書くことを勧め、ドビュッシーをダヌンツイオに紹介してやったのもモンテスキューだった。ダヌンツイオの芸術に対するモンテスキューの忠誠は痛々しいほどだ。













by momotosedo | 2008-06-29 16:30 | ■読書は愉し


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